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助成事業 QOLへの助成

若年がん 本音を配信=東京

 25歳でがんを経験したNPO代表の岸田徹さん(28)(東京都)が、同世代のがん患者にインタビューする番組「がんノート」を制作し、インターネットで配信している。若さゆえの悩みを共有しようと始め、2年間で40人以上を紹介した。病気だけではなく、就職や結婚でも壁に直面する若年患者たちの精神的な支えになっている。
 「24歳で乳がんになり、10年たった今も治療中。乳房を切除したが、再発し、治療で妊娠もできなくなった。一番結婚を考えるときだったので、本当につらかった」。神戸市内で5月にあった収録で、大阪市内に住むYumiさん(34)(仮名)は、岸田さんの質問にそう語った。
 インタビューは1時間半にわたり、動画サイトで生中継された。「わかるよ~」「がんばって」。サイトは、視聴した患者らからの激励の言葉であふれた。
 IT企業の社員だった岸田さんは2012年春、体のだるさと首のしこりが気になって病院に行き、同年11月、精子の元になる細胞のがん「胚細胞腫瘍」と診断された。10万人に1人程度と少ないため発見が遅れ、すでに全身に転移していた。「5年生存率は5割」と宣告され、入院した。
 8か月にわたり、抗がん剤の投与を受け、首や腹部の腫瘍を手術で摘出した。治療は成功し、社会復帰に向けて自宅療養中、手術の後遺症による生殖機能の障害が判明した。
 治療法や患者の体験をネットで何度も調べた。デリケートな症状だけに情報は少なく、1週間して、夫が同じ障害だという女性のブログを見つけた。メールをやり取りして勇気づけられたが、障害が残りにくい手術法があったことも知り、悔しさが募った。
 その思いからブログで積極的に情報発信をし、患者団体に入った。14年6月に闘病体験をネット中継する番組「がんノート」を始め、仕事を辞めた後、今年1月にNPOを設立。フェイスブックも開設している。
 番組名は、手を取り合うという思いを込めた「がんの手」(GANNOTE)。非常勤職員として働く国立がん研究センターの中央病院(東京都中央区)などで月2回、公開収録をし、これまでに知り合いの患者44人の声を伝えた。
 インタビューで、脳腫瘍の20歳代男性は「ほぼ内定していた会社から約束をほごにされた」と語り、別の男性は「新薬で大学に戻れた」と情報提供した。
 岸田さんは今後、患者の社会復帰をバックアップするよう企業に働きかけていくつもりだ。昨年も腫瘍を摘出し、再発の不安は消えないが、「一日一日を大切に生きるようになり、新たな人生の道も見つけた。患者が前を向いて歩める力になりたい」と話している。
 

(2016年06月04日)

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