助成事業

小児がん経験者で夏合宿=大阪

 小児がんを経験した若者らでつくるNPO法人「エスユース」(茨木市)が、公益財団法人正力厚生会の2012年度がん患者団体助成事業の助成対象に選ばれた。エスユースは助成金を、8月11、12両日に大阪市北区で開く交流会に充てる予定。代表の四天王寺大学2年久米昂佑さん(20)(千早赤阪村)は「小児がんを経験した人は少なく、孤独に感じることもある。仲間が集い、後遺症や悩みを話し合って前向きになれるようにしたい」と話している。

 久米さんは、中学3年生の時に激しい頭痛で倒れ、病院で脳腫瘍と診断された。入院し、摘出手術や放射線治療を受け、自宅での療養を経て、1年遅れで高校に入学。しかし、半身まひや目の焦点が合わないなどの後遺症があり、ふさぎ込むこともあった。
 小児がんで子どもを亡くした親たちでつくるNPO法人「エスビューロー」(兵庫県芦屋市)を医師に紹介され、09年にイベントに参加。同じ境遇の仲間と知り合い、「苦しんでいるのは自分だけじゃない」と知って気持ちが楽になった。エスビューローがインターネットのテレビ会議システムを使って運営する「ネットでeクラス」で学ぶようになった。
 昨年8月には、吹田市内で開かれた1泊2日の「サマースクール」に参加。参加者たちが食事をみんなで作ったり、夜に語り合ったりし、その後、エスユースを結成した。今年は、エスユースが主体となってサマースクールを運営しようと、正力厚生会の助成金を申請。小児がんを経験した約30人の小中学生らが模擬店や座談会を開くという。
 エスユースには家族を小児がんで亡くした人らも参加。副代表の安道照子さん(50)(茨木市)は、00年に5歳だった長男を白血病で失った。「小児がんを経験した若者が復学や進学、就職などで一歩を踏み出すのは大変だが、闘病を経験したことを強みにしてほしい」と語る。
 がん患者団体助成事業の応募方法などは、正力厚生会事務局(03・3216・7122)へ。