助成事業

福岡の団体3回目選出=福岡

がん患者(中央)を訪問支援するメンバーら(ファイナルステージを考える会提供)

 末期がん患者が最後まで心穏やかに暮らすことができるよう、自宅への訪問支援や患者本人の勉強会を続ける福岡市南区のボランティア団体「ファイナルステージを考える会」が、公益財団法人正力厚生会の新年度のがん患者団体助成事業助成対象に選ばれた。2010年度に続き3回目の選出。助成金30万円は、がん患者が絵手紙や音楽鑑賞を楽しみ合う同会独自のデイホスピスの運営に充てられる。
 同会は1994年、乳がん患者の小山ムツコさん(2000年、57歳で死去)が「人生の最終舞台を納得して過ごそう」と発足した。
 月1回の勉強会では、様々なテーマを取り上げる。今年度は医師や薬剤師、旅行会社員、葬儀会社員らが講師を務め、病気に対する最新の知識や終末期でも可能な旅行、葬儀の準備の仕方などについて紹介した。
 勉強会以外にも、スタッフが自宅療養をする患者宅を訪ね、無料でマッサージしながら悩みや思い出を聞く「傾聴」を実践。年1回、患者を連れて鹿児島県・屋久島を訪れる旅行もある。
 デイホスピスはそれらの活動のひとつとして、同区の清水クリニックの一室を借りて2007年に始めた。入院治療が難しくなったり、通院治療を選択したりした患者3~5人が週1回集まり、水彩画やフラワーアレンジメントに挑戦したり、一緒に昼食をとったりする。
 自宅で療養する末期がん患者が治療以外で日常的に通える施設は少ない。病気は重いが、四肢の衰えなど生活上の目立った支障は少ないことが多いため、介護保険制度のもとで「要支援」とは認定されず、介護施設などは使いにくいためだ。
 岩崎瑞枝代表(55)は「病気になったけど、楽しく明るく暮らしたいというのが創始者の小山さんの考えだった。今後、デイホスピスに来た患者さんが、その場で悩みや思いをスタッフに語れような環境も整えたい」と話している。